セオリーだけを信奉した資金繰り改善策は失敗する

資金繰りを改善する方法として「回収を早くし、支払を遅くする」が挙げられます。
確かにその通りではありますが、現実問題として可能なのでしょうか?

自分にとって都合の良いことは、相手にとって都合の悪いこと

自分からみて「回収」を早くするということは、相手の「支払」も早くなるということです。
自分からみて「支払」を遅くするということは、相手の「回収」も遅くなるということです。

自分にとっては二重のお得、相手にとっては二重の損です。
どう考えても受け入れられるわけがありません。

とくに地方の企業は、お互いが支え合いながら地域経済を引っ張ってきた背景があります。
資金繰り改善におけるセオリーだけを信奉して、自分にとって都合の良い条件を押し付けることはできないのです。

資金繰りを改善する上で、最初にやらなければならないのは、自分たちの業務フローの改善です。
「未回収の売掛金を減らすために与信管理を徹底する」「無駄な支出を抑える」といった、当たり前で地道なことを愚直に実践していくしかありません。

資金繰りを考えることで、見えていなかった課題が浮き彫りになる

では、相手に対して何も言えないかというとそうではありません。
取引先からの回収ルールが月末締め翌月末回収になっているにもかかわらず、A社からは翌々月末回収になっている、というケースです。
A社に対しては、他の取引先と同じ条件を受け入れてもらうよう交渉する必要があります。

もちろん、交渉が順調に進むことは稀でしょう。
とくに、A社への売上が大きなウェイトを占めている場合、回収条件の交渉はしづらいものです。

ここで考えていただきたいのは、資金繰りに焦点を当てたからこそ、回収条件の見直しという発想が生まれるということです。

利益確保の観点で見れば、取引量が多いA社との取引を継続すべきです。
しかし、資金繰りの観点で見れば、取引量が多いA社との取引を継続すべきかどうかを考える余地が生まれます。

結果的に、A社との取引をどうするかは経営判断に委ねることになりますが、資金繰りを考えることで、いままで見えていなかった経営課題が浮き彫りになるのです。

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