経営は、効率性ではなく安全性を最優先に考える

コロナ禍によって、多くの企業が資金繰りに苦労しています。
一方で、キャッシュリッチと呼ばれる企業もあります。
その代表格がオリエンタルランドです。

オリエンタルランドの手元資金は厚い

下図は、四半期ごとの現金・預金残高の推移です。(オリエンタルランド決算資料より作成)

2月29日より休業を開始した影響で、売上はほぼゼロになる一方、従業員への給与支払いや設備・装置等の維持費などの固定費は継続して発生します。
結果、2020年6月時点の現金・預金額は、2019年12月時点より約46%も減少しました。

とは言っても、約1,700億円の手元資金があります。
これは月商の4〜5ヵ月分に相当します。
仮に、これから4〜5ヵ月間ほど休園したとしても、企業活動を維持できるわけです。
すでに営業を再開し、最悪期は脱していますから、安全面においてはほぼ問題ないと言えるでしょう。

手元資金を確保することで冷静な経営判断が可能となる

緊急事態宣言が解除され、全国的な移動が解禁されたのは6月中旬でした。
それに合わせて、全国のテーマパークは、入場制限措置などの感染予防対策を実施しつつ、いっせいに営業を再開しました。
テーマパーク事業は固定費が多く発生するので、一刻も早く営業を再開し資金を確保したいわけですから当然です。

しかし、オリエンタルランドが営業を再開したのは7月からでした。
感染予防対策に万全を期すための準備に時間を費やす必要があったことや、緊急事態宣言解除後の感染状況を見極めたいという意図があったのではないかと推察します。
豊富な手元資金があるが故に、このような冷静な対処が可能となるのです。

オリエンタルランドのようなキャッシュリッチ企業は、アナリストから「資金を効率的に活用できていない」と批評されることがありますが、企業経営において最も重要なことは「事業を継続させること」です。
事業継続を最優先にした経営を実践するには、資金の状況と流れを把握することが重要なのです。

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